サステナブルな酪農、有機循環型酪農を、もっと身近に。
オーガニックを、もっと気軽に。

あたらしい酪農

天川隼人さん(カネカ) カネカがなぜ酪農に取り組んでいるのか?

天川隼人さん(カネカ)  カネカがなぜ酪農に取り組んでいるのか?
もくじ

カネカといえば化学メーカーということで、乳製品を手がけているイメージがあまりないかもしれません。「カネカがなぜ乳製品事業を展開し、さらに有機酪農を運営しているのか?は、多くの方々から受ける質問です。」と天川さん。

カネカがなぜ酪農に取り組んでいるのか

カネカがなぜ酪農に取り組んでいるのでいるのでしょうか?「カネカは“世界を健康にする”という経営理念のもと、“世の中の社会課題を解決していくことを通じて自社も成長していこう”という考えをもって事業展開をしています。」カネカは、社会課題の一つとして日本の酪農業に着目。2018年に乳製品事業を立ち上げました。天川さんは乳製品事業の立ち上げから関わっています。

日本国内の酪農業は、後継者不足や労働力不足などから厳しい環境下におかれています。「国内の生乳生産量も中長期のトレンドで見れば減少傾向にあると私たちは見ています。」この社会課題を解決するために、「カネカは酪農家の皆さんと手を携えて、日本の酪農を盛り上げようとの想いをもって事業を展開しています。」と天川さんは語ります。

魅力ある酪農業を伝える

では、どのようにして日本の酪農を盛り上げていくのでしょうか?カネカは次の2つのアプローチで盛り上げていきたいといいます。

第一に、生乳の付加価値を高めること。スーパーの店頭に行けば、牛乳やヨーグルトなど様々な乳製品が並んでおり、消費者にとってそれらは身近な商品です。「ただしその一方で、生乳のこだわりや品質、魅力を消費者に伝えきれていないのではないでしょうか。」(天川さん)

カネカは魅力的な商品づくりを通じて、生乳の価値を消費者に届けたいと考えています。その具体例が、「有機酪農によるオーガニック乳製品」や「世界のネクストトレンドであるA2ミルク」だと天川さんはいいます。

第二に、魅力ある酪農業を伝えること。酪農家の戸数は、年々減少傾向にあります。後継者不足やなり手不足の要因の一つには、「酪農や酪農家の仕事が一般の方にはほとんど知られていないことにあるのではないか?」と天川さんは推察しています。確かに、一般の人にとって、酪農家がどんな仕事をしているのか、牧場ってどんなところか、牛の1日ってどんなのかなどほとんど知らないことばかり。「私たちは、“酪農って面白い!酪農の仕事をしてみたい!”と多くの皆さんに思ってもらえるよう、酪農家の皆さんと共に、酪農の魅力をより多くの方々に伝えていきたいと考えています。」

カネカは有機専用牧場を実際に運営しているからこそ、「乳牛の暮らし、酪農の仕事、そして、酪農家の皆さんの想いをリアルに伝えることができる」と天川さんはいいます。一例として、毎日小学生新聞と共同で、小学生向けのオンライン牧場体験イベントを実施。「別海ウェルネスファームの取り組みを通じて、子どもたち、そしてご家族にとって食育やSDGsを考えるきっかけになったのではないでしょうか。」

天川さんの仕事は、マーケティング活動(商品開発、商品企画、プロモーション)を通じて、「スーパーマーケットやオーガニックスーパー、そしてコンビニの店頭で、お客様に自分たちの商品を知ってもらい手にとってもらう」こと。カネカの乳製品事業は新規事業のため、販路の開拓は苦労の連続だったといいます。「新規事業の立ち上げ当時は、元々のお取引先であったパン屋が主な販売先でした。より多様なお店でお取り扱いいただき多くのお客様にお届けするために、マーケティング部門だけでなく営業部門と一緒に、どうやったらスーパーマーケットの棚に置いてもらえるか、消費者に手にとってもらえるかを熱く議論し、日々仕事に取組んできました。」と天川さん。その結果、現在では、全国のスーパーマーケット、コンビニなどにもカネカの乳製品が置かれるようになったといいます。

酪農家の想いを、消費者の皆さんにお届けする

天川さんにとって仕事のモチベーションは何なのでしょうか?それは、「酪農家の想いを、消費者の皆さんにお届けすること」だと天川さんは熱く語ります。「酪農家さんは、酪農に対して人並ならぬ熱意とこだわりを持って日夜仕事に取り組んでおられます。その仕事に対する姿勢や努力には、頭が下がります。」そして、「私たちマーケティング部門は、この酪農家の想いを背負って仕事をしています。カネカの乳製品が新たな取引先の棚に置かれたときに感じる、“酪農家さんの情熱に報いることができた”との達成感は、何事にも代えがたいものです。」(天川さん)。

2023年3月にカネカグループ運営牧場「別海ウェルネスファーム」の有機生乳でつくった『ピュアナチュール™ オーガニックヨーグルト プレーン』が発売されました。今後は、オーガニック専門店、宅配サービスなど新たな販路の開拓に向け、天川さんの「酪農家の想いを、消費者にお届けする」旅は続きます。